左官アート額とは

 古来、左官職人は今のようなカタログが無かった頃、上塗りの見本板を何枚か重箱のような入れ物に重ねて入れ、お客様にその中から壁の色などを選んで頂いていました。しかし、今日では、材料メーカーの作った材料カタログに仕上げの風合いもそのままに、しかも多種多様な色見本もつけてあり、左官職人が独自の見本を持つという事が無くなりました。従って、必然的に左官の仕上げというものが、メーカーの作ったもの、いわゆる「既製品」に限られ、見る人もそのように認識してしまっているのが現状です。
 しかし、今回ご覧なられればお解かりのように、左官の仕上げは"土"ひとつとっても沢山の種類があり、その仕上げの仕方も千差万別でとてもカタログに出来るようなものではありません。
 その仕上げの面白さを、50センチ四方ほどの大きさの額の中に表現したものが「左官アート額」です。今回、左官仕上げコンペを実施するにあたり、この「左官アート額」での出展方法をとらせて頂きました。初めての試みではありますが、多くの方に見て頂き、失われてしまった左官仕事の奥深さを少しでも知って頂ければ幸いです。
特定非営利活動法人
加賀左官伝統技術保存会
事務局長 石動 博一

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